▼ party of the full moon 1
夜、雪菜の部屋にて。
「わー、月きれいだねー」
「今日は満月だからね。あと8年は来ないらしいよ?」
「そうなの?私、お月見の日って、毎年満月だと思ってた」
「私も。おもしろいよねー」
白いローテーブルを囲み、三人は窓から見える月を見ながらおしゃべりを楽しんでいた。
ちなみに三人共寝間着で、雪菜はグレーのロングワンピースにベージュのカーディガン、たまごねこは淡いピンクのカットソーワンピースに猫耳付きの黒いパーカー、リアラは碧のタンクトップに白いショートパンツ、水色のパーカーを着ている。
「暑い暑いと思ってたらもう秋かー…早いね」
「そうだね、何かあっという間だった」
「でも、いい思い出いっぱいできたね。皆で花火見に行ったの、すごく楽しかった」
「ああ、浴衣着て行ったやつね。皆似合ってから、思わず見惚れちゃったよ」
「若とおっさん、かなり着崩してたよね。つなちゃん、何度も注意してたもんね」
「あれは着崩すっていうより、はだけてるってレベルだよ。お腹見えかけてたじゃん」
「雪菜、顔真っ赤にしながら注意してたものね。二人共からかうから、大変だったでしょう?」
「本当に、たち悪いったらないよ。置いていこうかと思った」
「バージルが注意してくれてよかったね。すごい形相してたけど」
「あれはすごかった…おかげで助かったから、感謝してるけど」
そう言い、雪菜はテーブルの上にある団子の乗った皿に手を伸ばす。
「ん、胡桃おいしー♪」
「つなちゃん、お団子好きだよねー。特に胡桃だれのやつ」
「けっこうおいしいよ。串団子の中では一番好き」
「私も胡桃だれが一番好きかな」
「リアラ、ナッツ系好きだもんね。食べ物の好み、私に似てるよね」
「つなちゃんが生みの親だからじゃない?ほら、子は親に似るっていうし」
「そうかな」
雪菜はくすくすと笑う。
「ダンテ達もお団子食べてるのかなぁ…」
「食べてると思うよ。ただ、どれが好みかわからないけど」
雪菜とたまごねこが用意した団子は、みたらし、あんこ、ごま、胡桃の4つだ。ダンテ達は興味津々といった顔をしていたから、どれかを食べているとは思うのだが。
「バージルはあまり甘いの好きじゃないから、ごまかな」
「そうだね。2様は一番甘党だから、あんこかな。他の三人はみたらしだと思う」
「そんな感じがするね。胡桃もおいしいから、誰か食べてみてくれないかなー…」
「おっさん食べてくれればいいね。つなちゃんと同じ味好きだってことになるもんね」
「な、何言ってるの、ねこちゃん」
慌てたように手を振る雪菜。その顔は赤く染まっている。
リアラと二人でくすくすと笑いながら、たまごねこは話題を変えた。