▼ 5日目 33
「ラブラブだなー、お邪魔だったか?」
突然響いた声に、リアラは驚いて後ろを振り向く。そこにはニヤニヤと笑みを浮かべてこちらを見る若と、ディーヴァの姿。
「こらダンテ!ごめんねリアラお姉ちゃん、驚かせちゃって…」
「だって、あんなにイチャイチャしてたらなー、邪魔できないだろ」
「い、イチャイチャって…!」
「なんだ、羨ましいのか?」
真っ赤になるリアラとは逆で、髭は悪ノリしてリアラをぎゅーっと抱きしめる。ひゃあああ、と悲鳴を上げるリアラを見て、ああ、世界が違っても根っこの部分は同じ『ダンテ』なんだな…、とディーヴァが思っていると、ふいに身体が浮いた。
「別に羨ましくなんかねーし。同じことすればいいだけだろ?」
「ちょ、ちょっと、ダンテ!?」
抗議の声を上げるディーヴァを無視し、若はディーヴァを抱きかかえると、髭の隣に移動してその場に座る。もちろん、髭と同じように自分の両足の間にディーヴァを座らせて後ろから抱きしめる体勢で、だ。
リアラとディーヴァは、困ったように顔を見合わせる。
ふいに、若が口を開いた。
「さっきリアラが歌ってたの、なんて曲だ?」
「『アヴェ・マリア』だよ、有名でしょ。それくらい知っときなよ、ダンテ…」
呆れたように言うディーヴァの横で、リアラが驚いた声を上げる。
「二人共、聴いてたの!?」
「様子見に来たらたまたま、な」
「ごめんね、盗み聞きするつもりはなかったんだけど…」
二人の言葉に、リアラは真っ赤になって両手で顔を覆う。ああ、穴があったら入りたい。
「でも、リアラお姉ちゃん、声きれいだねー。すてきだったよ」
「そう…かな?」
「だろ?リアラは歌を歌うのが好きだからな」
「だろうな、前にも歌ってたし。…そうだ、ディーヴァも一緒に歌えよ!」
若の言葉に、ディーヴァは目を瞬かせる。