▼ 5日目 25
「セラータ、何、で…」
『あら、ごめんなさい、あなたがいるのを忘れてたわ。…今、楽にしてあげる』
悪びれもなくそう言うと、セラータは手を軽く振り上げた。次の瞬間、影が男の胸を貫く。
「がは…っ」
目を見開き、口から血を吐きながら、男は息絶えた。男を貫いた影の先には黄色く輝く何かが掴まれている。
セラータは影を男の胸から引き抜くと、掴んだそれを自分の元へと引き寄せる。よく見ると、それは宝石だった。
『あらあら、黒くくすんじゃってるわねぇ…。まあ、悪魔と手を組むくらいだから、仕方ないわね』
宝石を手に取り呟くと、セラータはそれを口に含み、噛み砕いた。ガリッ、と固い物が砕ける音が辺りに響く。
『でも、これはこれでおいしいのよねぇ…。さて、魔力も回復したことだし、今度こそあなた達を食べてあげるわ』
舌舐めずりし、セラータが手を広げた、その時。
「…ふざけるな」
地を這うような、低い声が響く。セラータが声のする方へと視線を向けると、リアラが立ち上がってこちらを睨みつけていた。
「人を散々喰らった挙句に自分に協力した奴まで喰らって…。どこまで最低なのよ、あんた」
『あら、自分をおびき寄せた人間なのに、肩を持つの?人がいいのねぇ』
セラータのその言葉に、とうとうリアラの怒りが頂点を突破した。
「絶対あんたを許さない…覚悟しろ…!」
『やれるものならやってみなさいな!』
そう言い、セラータは手を広げる。それと同時に影から無数の針が生まれ、リアラとディーヴァに迫る。
「ディーヴァ、リアラッ!」
それを見た若が叫んだ、次の瞬間。