▼ 5日目 22
「さあ、楽しいパーティーの始まりだぜ?」
「Let’s rock!」
そう言うと同時に、二人は大きく跳躍する。こちらに向かってくる二人を見上げ、セラータは手を広げる。
『いいわ、二人まとめて食べてあげる!』
それと同時に彼女の影が広がり、無数の針が二人目がけて放たれる。
「おっ、と!」
「危ね!」
即座に足元に魔法陣を形成し移動した二人は、両側からセラータに向かってリベリオンを振り下ろす。セラータは影を刃のように変化させ、二人の攻撃を受け止める。
『ふふ…私を捕まえられるかしら?』
不適な笑みを浮かべると、影に身を包み、セラータは姿を消す。
「…っ、どこ行った!?」
「!おい、後ろ!」
「!?」
髭の言葉に若がとっさに身をひくと、身体スレスレを刃となった影が飛んでいく。あと一歩遅かったら、あの刃に貫かれていただろう。
『あらあら、残念…』
セラータの声が響き、ふ、と気配が消える。辺りを見回し、うっとおしそうに若が舌打ちする。
「空中も移動できんのかよ…!」
「俺の時は部屋にある鏡で移動してたが…どういう仕組みだ?」
髭も思案するように首を傾げる。
と、その時、二人の頭の中に声が響いてきた。
(二人共、聞こえる!?)
「!リアラか?」
「みたいだな。どうした、リアラ?」
(よかった、聞こえてるんですね。二人同時は初めてだったから…。あ、声には出さないようにお願いします、相手にばれてしまうので)
(りょーかい)
(わかった。で、どうした?)
髭が問うと、リアラは話し始める。
(さっきの攻撃なんですけど、一瞬だけど、金縁の鏡が現れたんです。そこから影が伸びた後、影に包まれるように消えて…。たぶん、あの鏡を使って移動しているんだと思います)
(なるほどな。だから一瞬だけ、あいつの気配を感じたってことか)
(はい。空間を移動しているせいか、鏡が現れるまでは気配を感じることができません。だから、周りに意識を集中してください。鏡が現れるその一瞬で気配を感じとれれば、攻撃を避けられるはずです)
(なるほどな、わかった)
(うわ、オレそーいうの苦手だわ…)
(なら、ダンテは私がサポートするわ。来る直前に伝えるから、安全な場所に避けて。あと、その時、相手の気配を覚えて。そうしたら、気配を感じとれるようになるから)
(わかった、んじゃ頼んだぜ!)
(うん。あと、鏡は二つあるから、同時に攻撃が来る可能性もあるわ。油断しないでね)
(りょーかい!)
(わかった!)
リアラの言葉に頷き、二人はリベリオンを持ち直した。