▼ 5日目 13
「よし、こんな感じかな」
床の雑巾がけを終え、リアラは辺りを見回す。リビングは隅から隅までピカピカで、埃一つない。
リアラは満足そうに頷く。
「よし、掃除は終わり。そろそろ学校も終わるだろうし、ディーヴァちゃんのためにお菓子でも作ろうかな」
チラリと壁の時計を確認し、リアラが掃除用具を仕舞おうとバケツを持ち上げた時だった。
ガシャァァン!!!
突然ガラスの割れる音が響き、驚いたリアラは顔を上げる。視線の先には割れた窓ガラスと、投げ込まれたのであろう、何かを包んだ紙。
「こんなことをするなんて、いたずらが過ぎるわね…」
ため息を吐き、リアラは窓に近づく。屈んで紙を拾いあげ、中に入っているであろう石を取り出そうと紙を広げた時だった。
(?何か、書いてある…?)
よく見ると、何か文字のようなものが書いてある。見やすいようにと引っ張って伸ばしてみると、それは文章のようだった。リアラは書かれた文字を目で追っていく。
「…っ!!」
読み進めるにつれ、リアラの表情が変わる。最後にはグシャリと紙を握り潰し、何かを耐えるように俯く。
「ディーヴァちゃん…」
絞り出すように呟いた声が、静かな部屋に溶けて消えた。