▼ 5日目 11
「じゃあね、ディーヴァ」
「うん、また明日ね!」
校門の前で友人であるサラに手を振ると、ディーヴァは歩き出す。その足取りは軽く、スキップまでしそうな勢いだ。
「こんなに早く終わるとは思ってなかったけど、せっかく早く帰れるんだもん、三人で出かけようっと!」
そう、今日は当初の予定より2時間程早く終わった。なぜかというと、昼過ぎに学校に電気を供給している機械が謎の故障を起こし、すぐには直せそうになかったため、午後の授業が短縮されたからだ。
「今日はどこに行こうかなあ、あ、スイーツ食べに行くとか…」
歩きつつ、ディーヴァがどこへ行こうか考えていると、ふいに後ろから声をかけられた。
「あの、すみません」
「はい?」
ディーヴァが後ろを振り返ると、そこには金髪の男性がいた。
男性は困っているのか、遠慮がちにディーヴァに話しかける。
「このお店に行きたいんですけど、この辺りはあまり来ないのでよくわからなくて…。よければ、道を教えて頂けませんか?」
地図を手に丁寧な物腰で尋ねてくる男性に、ディーヴァは快く頷く。
「わかりました、えーっと…」
男性の持つ地図を覗き込み、店までの道順を確認したディーヴァは振り返る。
「えっとですね、この道を…」
そう言って向こう側を指差した次の瞬間、突然、口元に白い布を当てられた。
「んんっ!?」
「ごめんね、こうしないと半魔の子を捕まえられなくてさぁ…。一緒に来てくれる?」
ふうっ、と意識が遠ざかる。意識が途切れる直前、ディーヴァは事務所で自分の帰りを待つ二人を思い浮かべる。
(ダンテ…リアラお姉ちゃん…)
そのまま、ディーヴァの意識は途切れた。