▼ 4日目 54
「美味しい!」
「でしょでしょ!?ここの美味しいでしょ!」
「うん、とても美味しい…!」
「そりゃ良かった、連れてきた甲斐があるってもんだぜ。…しっかし、お前らどっちもそれが好きだとはな」
ミラノ風ピッツァをかじるダンテが、リアラとディーヴァの食べている代物を指差す。
深い耐熱皿にベシャメルソース、ミートソース、板状のパスタ、そしてリコッタ・モッツァレラ・パルメザン…数種類のチーズ、バターを乗せて焼いたという、チーズ好きにはたまらない一品。
こんがり焼かれたそれからは今もずっと美味しそうな香りが立ちのぼっている。
そう…材料を聞いた方はピンときたかもしれない。
彼女達が食べているのはラザニア。
2人はどちらもラザニアが好物だったのだ。
「私、ラザニア好きなんだ。ディーヴァちゃんも好きだったんだね」
「うん。ラザニアもだけど、チーズ使った料理はなんでもだぁい好きなの」
「そうなんだ。あ、だからデザートにチーズケーキ頼んだんだね」
「うん」
ニコニコと笑顔を向け合ってから、リアラとディーヴァは再びラザニアに取りかかった。
うーん、熱々のとろーり伸びるチーズ…とても美味しそうだ。
ダンテはそのディーヴァが口いっぱいにラザニアを頬張るのを見て、リアラにこそっと小さく言った。
「ディーヴァの機嫌が悪い時はな、チーズやリンゴ与えとくと楽なんだぜ」
「そ、そうなんだ…」
ディーヴァはチーズケーキだが、リアラはメロンソーダフロートを頼んでいた。
デザートと言うよりはドリンクに近いので、先に来ている。
それをストローでチューチュー啜りながら、ディーヴァちゃんって意外と単純なんだなぁ…と思うリアラだった。