コラボ小説 | ナノ
 4日目 41

心をほんわかと暖かくしていると。


「ねえ、ネモフィラってお花、知ってる?」


唐突にディーヴァが聞いてきた。
ネモフィラと言えば、春先に咲く小さくて青い花である。
和名には瑠璃の字が、洋名にもブルーの字が入っているため『青』に思い入れの強いリアラはよく覚えていたのだ。


「ネモフィラって、薄いブルーの小さな花のことだよね」

「そう。リアラお姉ちゃんのアイスブルーの目はあの色に似てる気がする」

「ネモフィラに?」

「最初はお空の色かな〜って思ったんだけど、違ったの。春先に一面にぶわーって咲く場所があるんだけどさ、まるで薄い水色の絨毯が敷いてあるみたいでとーってもきれいなんだぁ…」


本当に好きなのだろう、うっとりと目を閉じてその風景を思い出しているディーヴァ。
そんなに綺麗なのなら、リアラも見てみたいと思った。
もちろん、花を見つめるその傍らには赤いコートのあの人…。


「元の世界に戻ったらそっちのダンテとおデートしに行くといいよ〜」


世界が違えど場所は似ている。
ならば、大きな公園の場所や花の咲く時期くらいは同じだろうと思う。
考えを自分の世界のダンテへと飛ばしていると、ディーヴァがそう耳元で囁いた。
ハッとして見ると、その顔はニヤニヤしている。
考えがバレたようだ。


「も、もうっ!年上をからかうものじゃありません!」

「ごめんごめん」


リアラは顔を赤くして抗議すると、ディーヴァを捕まえてその頬をむにむにつついた。
やわらかい。
…ダンテの気持ち良いという言葉が少しわかった気がした。


「あたし、あの景色が大好き。リアラお姉ちゃんも気に入ると思うよ。だから…」


ぎゅ…。
解放されたディーヴァは、真正面からリアラに抱きついた。


「悪魔の部分もリアラお姉ちゃんなんだから、否定しないで好きになってあげて」

「……っ!」


言葉を失う。
まさか悪魔を嫌うディーヴァから、そう言われるとは思わなかった。
ディーヴァはすぐに離れ、にこにこと笑顔を浮かべている。
リアラは優しく抱きしめ返すことで、感謝の気持ちを伝えた。