▼ Will you marry me? 5
さらに一週間後、依頼先のホテルにて。
雪菜はリアラと一緒にホテルの一室で撮影の準備をしていた。ウェディングドレスに着替え終わったリアラを見て、雪菜は感嘆の声を漏らす。
「リアラ、きれい…」
「ありがとう、雪菜」
少し照れたように返すリアラ。
リアラは淡い水色のウェディングドレスを着ていた。袖のないタイプで、胸元には胸のラインに沿うように蔦の刺繍が施されており、ところどころに青いラインストーンがついている。裾部分にも同じ刺繍が施されており、中から青いレースの裾が覗いている。腰には青いレースが巻かれ、結び目部分には同じ素材の薔薇のコサージュがついている。
「何か、普段しない格好だと落ち着かないな…」
高い位置に団子にまとめられた髪を触りながら、リアラは呟く。とても心細そうだ。
雪菜は屈むと、リアラに優しく微笑みかける。
「大丈夫。いつも通りにやればいいから。私が傍にいるから」
「うん。ありがとう、雪菜」
雪菜の言葉に、リアラがようやく微笑んだ時、部屋の扉が開いた。
「準備できたか?リアラ」
姿を現したのは若だった。白いワイシャツに、髪より濃いグレーのタキシードを着ている。首には蝶ネクタイをしている。
「お、若。いいねー、似合うじゃん」
「本当、よく似合ってる」
「お、おう。ありがとな」
いつもなら嬉しそうに答える若が、今日は照れたように頬を掻いている。
首を傾げた雪菜だが、すぐに理由がわかり、ニヤニヤと笑みを浮かべる。
「はっはーん…リアラがきれいすぎて直視できないってか」
「う、うるせえ!」
「ふふっ…ありがとう、若」
「お、おう…」
「みなさん、撮影の準備ができたので教会に移動お願いします」
「はーい、わかりました!じゃあ行こうか、リアラ、若」
「うん」
「お、おう」
途中で来た撮影スタッフに促され、雪菜達は移動を始めた。
先に行く雪菜に気づかれないように、リアラと若は視線を合わせ、頷いた。