▼ 3日目 20
「…ごめんね、ダンテ。本当は、未来のこと、いろいろと聞きたいんでしょう?バージルさんが、どうなったのかも」
リアラの言葉に、ダンテは目を見開く。
「…わかってたのか」
「バージルさんの話をした時、ダンテ、聞きたいって顔してたから」
そう言うと、リアラは目を伏せる。
「…でもごめん、教えてあげられないんだ。教えてあげたいけど、違う世界とはいえ、言えば未来を変えることになる」
下手に話してしまったら、死ぬはずの人が生きれることになっても、生きているはずの人が死んでしまうかもしれない。そんなこと、自分にはできない。
俯くリアラの頭を、ダンテは優しく撫でてやる。
「…わかってる、だから、そんなに悲しそうな顔するな」
「……」
こんなに優しくしてくれるのに、何も、伝えることはできないのだろうか。
せめてと、リアラは口を開いた。
「…きっと、近いうちに会うことになると思う。でも、きっと…ディーヴァちゃんが一緒なら、大丈夫」
幼い自分では止められなかった人を、こっちのダンテが刃を交えることでしか止められなかった人を、ディーヴァと一緒なら、きっと。
未来は、変えられる。変えて、いける。
「ごめんね、こんなにお世話になってるのに、何の役にも立たなくて…本当に、ごめんね」
未来を知りながら何の役にも立てない自分を呪いたくなる。何も言わずに優しく頭を撫で続けるダンテの手にあちらのダンテを思い出して、悔しさと寂しさでリアラは俯いて静かに涙を流した。