▼ 3日目 12
『やっと見つけたわ、氷の半魔…。赤の半魔も一緒とは好都合ね』
「ダンテのことを知ってるの?あなた、一体…」
そこまで言って、女の気配にリアラは眉を寄せる。
「この気配…まさか、前の依頼でダンテさんが逃げられたって言ってた悪魔…?」
『あら、気配でわかるなんて…それなりの力はあるのね』
「前の依頼で…?リアラ、どういうことだ?」
問うダンテに、リアラは女ー悪魔に注意を払いながら、静かに説明し始めた。
「1ヶ月くらい前のことなんだけど…」
この世界に来る前、元の世界で依頼をこなしながらダンテの事務所で暮らしていたリアラは、1ヶ月前にダンテと共にある依頼へ向かった。
それは屋敷に住み着く悪魔を退治してほしいというものだった。屋敷は住む人もなく廃墟となっており、そこへ面白半分に肝試しに行く人達が行方知れずになっているのだという。
さっそく依頼場所に向かった二人は、屋敷に住む悪魔の多さに原因を見つけるのに時間がかかると思い、二手に分かれて屋敷の中を回った。あの時はダンテが原因の悪魔を見つけたのだが…。
「あともう少しっていうところで、その悪魔は鏡に逃げ込んで鏡ごと姿を消したって言ってたわ。まさか、その悪魔がこっちに来てるなんて…」
『私の持つ鏡は特別製なの。魔界で造られた物ですもの』
ニッコリと笑いながら言った悪魔は、それにしても、と続ける。
『せっかくこっちに引きずり込んだっていうのに、ここにも赤の半魔がいるんだもの、驚いたわ。でも、あっちの赤の半魔ほどじゃないし、あわよくば一緒に食べちゃおうかと思ってね。おまけに美味しそうな女の子もいることだし』
そう言った悪魔は、後ろにいたディーヴァを見つめると、あら?、と首を傾げる。
『この子、他の人間とは違うわね…。この感じ…もしかして天使?』
「っ!」
びくっと肩を震わせるディーヴァを、ダンテは守るように強く抱きしめる。二人との距離を縮め、悪魔は楽しそうに笑う。
『まさか、こんなところで天使に会うなんてねぇ…。ちょうどいいわ、この子も食べちゃおうかしら』
悪魔がす、と手を伸ばす。ディーヴァを強く抱きしめ、ダンテが悪魔を睨みつけた、その時。