▼ 3日目 11
夕日が沈み始めた頃、赤く染まる帰り道を三人は歩いていた。
「だいぶ遅くなっちゃったね」
「ごめんね、私が食材選びに時間かけちゃったせいで…」
「気にしないで、リアラお姉ちゃん。なるべく安く買おうって時間かけて選んでくれたんでしょ、むしろ助かるよ」
「そっか。なら、よかった…」
「ま、どっちにしろ早く帰った方がいいだろうな。悪魔が出ないとも限らねえし」
「そうだね、早く帰ろっか」
「うん」
ダンテの言葉に頷き、三人は歩みを早める。
だが、ふいにリアラが足を止めた。
「……」
「リアラ?」
「リアラお姉ちゃん、どうしたの?」
首を傾げる二人に、注意深く辺りを見回したまま、リアラは告げる。
「…ダンテ、ディーヴァちゃんから離れないでね」
リアラのその言葉に何かを察したのか、ディーヴァを抱き寄せ、ダンテは辺りを注意深く見回す。不穏な空気を察したディーヴァが怯えるようにダンテの服を掴んだ、その時。
ヒュンッ!
「!」
「リアラ!」
「リアラお姉ちゃん!」
リアラの影から無数の鋭い棘のようなものが伸び、彼女を狙う。素早く反応したリアラは手に持っていた荷物を置き、その場から飛び退いた。影がなくなったことで消えていく棘を睨み、リアラは口を開く。
「出てきなさい。同じことが通用すると思ってるの?」
『あらあら…少し貴方を侮ってたみたいね』
どこからともなく声が響くと、ふいに地面が黒く滲み、そこから女が現れた。
長い黒髪を持つ、美しい女だった。服というには露出が多すぎる紫の衣装を身に纏い、胸元に紅い石を付けている。
石と同じ紅い目を細め、女は笑う。