▼ 3日目 5
「で、こっちが市場な」
「へー…私の住んでいるところとはちょっと違うね」
「まあ、同じ街っていっても世界が違うしな。あっちの『オレ』の歳も違うし、その差もあるんじゃねえの?」
「そうだね」
ダンテの言葉にリアラは頷く。
2時間ほどだろうか、外に出て、ダンテに街の中を案内してもらったリアラは、自分の住むスラム街とこの街は少し違うことを実感した。店の並びや市場の場所など、少しずつ違っているのだ。ただ、ここのダンテは自分の世界のダンテより若いから、昔はこんな感じだったのだろうか、とも思う。
そんなことを考えていたリアラは、ふいに感じた気配に首を傾げた。
(あれ…?この気配って…)
清らかな、悪魔とは正反対の聖なる気配。間違いない、ディーヴァの気配だ。それは、ダンテの向かう方角から感じる。
気になったリアラはダンテに尋ねる。
「ねえダンテ、もしかしてこの方向って…」
「あ、バレちまったか。たまにさ、こうやって様子見に行くんだよ」
悪びれずに答えるダンテにリアラは呆れる。
「ディーヴァちゃんに怒られてもしらないよ?」
「大丈夫だって!リアラは学校見たことないだろ?一緒に行こうぜ!」
「というか、断ったって連れていくんでしょ?」
「まあな!」
笑って言い切ったダンテに、リアラはため息をつく。
「…すぐ帰るからね」
「まあまあ、そう言うなって!」
半ば強引に、リアラはダンテと共にディーヴァの通う学校に向かうことになった。