▼ 2日目 19
ぴくり。
その時リアラの聴覚が何かをとらえた。
「この気配と小さな衣擦れの音…」
「リアラお姉ちゃん、どうかしたの?」
首を傾げるディーヴァと、険しい顔をさらすリアラ。
手のひら全体に軽く魔力を集中させれば、小ぶりの氷柱が生まれる。
『アイシクル』と、そう呼んでいるリアラの技だ。
そして、それの感触をしばらく確かめるように握った。
うん、いつもと同じでとても鋭そうだ。
「覗きは犯罪…よっ!」
リアラは、いつの間に開いていたのだろうか、ドアに開いたわずかな隙間めがけて素早く放った。
「ぎゃっ!」
逸れることなく隙間を越えた氷柱が相手にジャックポッド!
派手に倒れる音が響き、ディーヴァがそっとドア向こうを覗くと、そこには頭に氷柱が刺さったダンテの姿。
この男、やるとは思ったがまたまた覗きを企てたのだ。
相変わらずこりない男である。