▼ 2日目 13
リアラは紅茶に映る自分の顔を見つめながら、過去に思いをはせる。
「私がデビルハンターになったきっかけは悪魔に母を殺されたからなの。その仇を見つけるため、多くの依頼をこなしてきたのだけれど…」
悲しげに言うリアラ。
「その過程で悪魔と変わらない…いいえ、悪魔よりもひどい人間達をたくさんみてきたわ。半分は人間の血をひいているのに、悪魔の立場で見てしまうことが多々あったの」
「悪魔側の立場?」
復唱して聞いてくるダンテに、リアラはゆっくり頷き、続ける。
「どうして人間同士で殺し合ったり、騙し合ったり…ひどいことができるの?どうして人間はこうなんだろう?…って」
ダンテは何も言わずそれを聞いているが、その表情はリアラと同じ色がみてとれた。
同じようなことを思ったことがあるのかもしれない。
「それだけじゃない。もう半年も前かな…ある教団に捕まっててね、実験材料にされてたの。人からの酷い扱いを受けて、私は人間が苦手になった」
実験材料とは、ぞっとする。
ディーヴァももしかしたらその運命を辿っていたかもしれないのだから。
死ぬ寸前まで追い詰められたこと。
リアラの世界のダンテに助けられたこと。
彼を追って旅する決意をしたこと。
そして今にいたると、リアラは話した。
「そんなことがあったんですか…」
心痛めて聞いていたディーヴァ。
その頭をダンテは静かに撫でている。
ここのダンテと彼女は相思相愛、恋人関係なのね。
ダンテの態度から、視線からすぐわかった。
「あ。人間は苦手だけど、さっき言った通り、ディーヴァちゃんのことは嫌いじゃないからね?もちろんダンテはいわずもがな」
「よかったぁ…。これからよろしくお願いします」
「こちらこそ。帰るまでの間、仲良くしてね?」
「はい!…じゃあ、ここにいる間はお姉ちゃんって、呼んでもいいですか?」
上目使いでそう言われ、リアラはきゅんとした。
「うん、いいよ」
「だったらオレもディーヴァからお兄ちゃんって呼ばれてみたい」
「わーい、やったー!!あ、ダンテはダメ」
「なんでだっ!!」
ダンテとディーヴァがじゃれあうのを見るリアラ。
妹はいないのだが、なんだか妹が出来た気分で嬉しくなった。