▼ 2日目 11
「それって…ディーヴァがオレに力を与えてくれた時の感覚と同じじゃねぇか?」
天使の力を得ると、体の奥底から体験したことのないくらいの力がわいてくる。
その時に怪我をしていたらその怪我がいつもの倍以上の早さで治っていく。
リアラがいう感覚はそれにピタリと当てはまる。
「そう、なんだ…」
「ディーヴァ、なんかしたんだろ。何した?」
「え?んーと、具合悪そうだったからおまじないしただけだよ」
自分にふられると思わなかったディーヴァは、きょとりとして答えた。
「はぁ?おまじないってなんだよ」
「私の額にキスしてくれたよね。あれがおまじないなんでしょう?」
クスクス笑うリアラにディーヴァも、にへら〜と笑みを浮かべる。
ダンテはその話で心の中が大興奮だった。
「何ですと!?ちょ、それなんて百合だ!?ちょっとそこ詳しく…」
「ダンテ?」
「…悪い」
ディーヴァの白い目の前に、すぐさま止まるダンテ。
「あ〜、えっと…。だから回復したんじゃないか?ディーヴァの血をもらうのが一番効くが、キスにも同じような力があるからな」
「あ、そういえばそうだったね」
「忘れんなし」
おとぼけなディーヴァに、ダンテが小さく小突く。
リアラは苦笑するそんなディーヴァに、礼を述べた。
「ディーヴァさん、ありがとう」
「えへへ、どういたしまして。役立てて何よりです。あ、『さん』なんてつけなくっていいですよ!」
「え、じゃあ…ディーヴァ『ちゃん』、でいいかな?」
「うーん…ま、いいか。じゃあそれでお願いします!」
なにか得があるわけでもない。
会ったばかりで、しかも嫌いなはずの悪魔の血をひく自分に、無償で力を分け与えてくれた。
今までみてきたひどい人間とは違う。
母のような優しい人間…。
ああ……この子はとても優しい子だ。