コラボ小説 | ナノ
 1日目 2

「………」


何かの気配を感じ取り、リアラは後ろを振り返る。


(何か、いる…?)


辺りを見回すが、自分以外の影は見当たらない。だが、何かがいる、とリアラの本能が告げていた。
その時。


「っ!?」


ガシリと何かに足を掴まれ、リアラはうしろを振り返る。自分の影から手が伸び、自分の足を掴んでいたのだ。


(前に私の声を奪った悪魔と同じ奴…!?)


前に自分の声を奪った悪魔と移動方法が似ている。
リアラはその手から逃れようとするが、身体が金縛りにあったように動かない。次々に影から手が伸び、リアラの身体を絡め取っていく。やがて、身体が影に飲み込まれ始めた。


「…っ、…っ!」


為す術もなく、身体が引きずり込まれていく。完全に飲み込まれる寸前、見上げる形になった月に、大切な人の姿が思い浮かぶ。


(ダンテ、さん…!)


リアラの心の叫びだけを残し、辺りは静寂に包まれた。
月だけが、その様子を見ていた。