▼ good morning! 7
「雪菜、大丈夫か?」
「う゛ー…」
「俺達が機械なのを忘れて殴るから悪い」
「だったらあの状況でどうしろと…」
「知らん。自分で考えろ」
初代から心配の言葉を、バージルから冷ややかな言葉をかけられ、雪菜は左手を降りながら言う。
あれから痛みに呻く髭を放って下に下りてきた雪菜は、みんなと朝食を食べていた。
ちなみに席は左側が女子三人、男子が一人、右側が男子四人だ。左は奥からたまごねこ、雪菜、リアラ、若。右側は奥から初代、髭、2様、バージルだ。結局、若と髭とのやりとりで時間がかかってしまい、10分ほどでたまごねこは学校へ向かってしまったが。
(ああ、ねこちゃんとのご飯の時間が…)
しょんぼりとする雪菜の後ろから、低く穏やかな声がかかった。
「…左手、見せてみろ」
そう言うと、キッチンから出てきた男性−2様は雪菜の左手をとり、じっと見る。
2様は二番目に造られた『sing doll』で、冷静で落ち着いた性格をしており、みんなに頼られる存在だ。
しばらく雪菜の左手を診ていた2様は、ゆっくりと手を離した。
「少し腫れているが、一日安静にしておけば大丈夫だろう」
ただ、と2様は続ける。
「その状況で混乱して殴るのは仕方がないが、左手は止めておけ。こっちは利き腕だろう?」
仕事ができなくなるぞ、と言われ、雪菜は俯く。
「ごめんなさい…」
「謝らなくていい。悪いのは髭だからな」
次からは気をつけろよ、と言い、頭を優しく撫でる2様に、雪菜は微笑んでうん、と頷く。
「そういえば、今日の仕事の予定は?」
ふいに初代に話しかけられ、雪菜はあ、と声を上げる。
「そうだった、ちょっと待って」
雪菜は白衣のポケットから碧い手帳を取り出すと、パラパラと捲り始める。
「今日は10時から○○局でバラエティ番組に出演、12時から××局で音楽ラジオにゲストで出演。午後は3時から△△局でバラエティ番組に出演。どれも全員でね。個別は今日はなし」
「珍しく今日は早く終われそうだな」
「そうだね。夕方の4時には終われるから、途中でねこちゃんとネロ拾って戻ってこようか」
「そうだな」
「雪菜、帰りストサンな!」
「はいはい」
若の言葉に雪菜が頷くと、初代が首を傾げた。
「ストサン?雪菜、若と何か約束したのか?」
「あーうん、さっきね、仕事がんばったらストロベリーサンデー奢ってあげるって言ったの。大丈夫、みんなにも奢ってあげるから」
バージルは紅茶ね、と雪菜が言うと、その場の全員の目が輝いた(リアラと2様は控え目だけど)。心なしかバージルの眉間の皺も薄い。
「雪菜、店はあそこだろ!?雪菜お勧めの店!」
「もちろん」
「よっしゃー!」
やる気になった若に思わず笑みを溢しながら、雪菜は言った。
「よし、じゃあみんな、今日も一日がんばろうね!」
その言葉に各々が頷いた。
さあ、今日も忙しくも賑やかな一日を始めようか。
***
や、やっと書けました、ボカロパロ第一話!
って、いつもこれ言ってる…(^ ^;)
文章に各々の紹介入れるのが難しくて、変なところに入ったかもです、そこはご勘弁を(^ ^;)
ねこちゃんが少ししか出てない…ごめんよ、ねこちゃん(^ ^;)
あ、ちなみにあの後、おじさんは雪菜の命を受けた若に蹴り入れて起こされたと思います(笑)
次からは管理人ズ+ネロも動きますので、お楽しみに!
2013.6.15