▼ The season that rotates 4
「はー、気持ちよかったー!」
満足そうな顔で風呂から上がった紅は、着替えを済ませるとタオルで頭を拭きながらリビングへ向かう。
「リアラー、お風呂空いたよー」
「あ、ありがとう」
声をかけられたリアラが振り返る。手元には恋人から届いた手紙があり、自分がお風呂に入っている間に読んでいたのだとわかる。
紅はリアラの隣りに座る。
「おっさん何て?」
「私が元気にしてるかっていうのと自分の近況、あと、週末に遊びに来てくれるって」
そう言って笑うリアラは本当に嬉しそうで、やっぱりリアラもおっさんに会いたいんだな、と紅は思った。
「そっか、よかったじゃん」
「うん。あ、あとね、時々若とメールしてるみたいだけど、紅と会いたい、ってばっかり言ってるんだって」
「おっさんがダンテと?」
あの二人がメールでやり取りをしてるなんて驚きだ。それにしても、ダンテがそんなことを言っているなんて。
嬉しいような、恥ずかしいようなで紅は頬をほんのりと赤く染める。くすりと笑みを零し、リアラは続ける。
「あんまりそう言うから、ダンテさん、『紅にメールしたらどうだ』って言ったんだって。『電話してもお互いにすぐ返せないだろ』って」
私と考えること同じだね、とリアラが言ったその時、テーブルに置いていた紅の携帯が鳴った。着信で流れた音楽に、紅が目を見開く。
「もしかして…」
携帯を手に取り確認すると、思った通り若からのメールだった。
くすくすと笑みを溢し、リアラは言う。
「タイミングいいね。若、何て?」
「最近忙しくて電話できなくてごめん、って。週末に休みできたから遊びに行く、って…」
「週末か、ダンテさんと来る日一緒だね。待ち合わせ場所は決まってるの?」
「アパートに来る、って」
「あ、そこもダンテさんと同じ。ふふ、名前が一緒なだけあるね」
どんな服着るか考えておかなきゃね、とリアラは微笑む。小さく頷いた紅は、嬉しさに携帯を握りしめた。