▼ The season that rotates 3
あっという間に時間が流れ、今日の講義を受け終えた二人は、アパートへの道を歩いていた。
「今日の〜、晩ご飯はっ♪お〜いしい〜、オムライスっ♪」
「紅ったら、歌まで歌っちゃって」
「だって、リアラのご飯おいしいもん!」
夕飯の材料の入った袋を提げ、二人はアパートの階段を上がる。自分達の部屋の前に来た時、郵便受けを開けた紅はあれ?と声を上げる。
「手紙だ、珍しい」
「誰から?」
「えーっと…」
端に『リアラ』と書かれていることから、リアラ宛の物だとわかる。封筒を裏返すと、多少雑ながらも力強さのある字で見覚えのある名前が書かれていた。
あ、と紅は呟く。
「おっさんからだ」
「ダンテさんから!?」
恋人の名を聞いた途端、リアラは勢いよく振り返る。その様子を見ていた紅は苦笑する。
「リアラ、驚きすぎ」
「あ、ごめん…。でも、私が手紙書いてからまだ一週間しか経ってないのに…」
「読んですぐに書いてくれたんじゃない?おっさん、意外と律儀だね」
はい、と紅が手紙を渡すと、それをじっと見つめ、リアラは微笑む。
「ダンテさん…」
「ふふ、よかったね。とりあえず中入ろ?ここにいたら他の人の邪魔になっちゃうし」
「あ、そうだね」
頷き、リアラは玄関の扉を開けた。