コラボ小説 | ナノ
 long with everyone!

「お、来たぞ」


最初に気付いた初代の声を合図に、打ち上げ会場に戻ったリアラと紅をあたたかい声が出迎える。


「二人とも、おつかれ」

「素敵だったわ」

「今までで最高の出来だったな」


ネロとキリエが並んで微笑み、初代がニッと笑った。二代目は大きな手のひらで頭を撫でて、


「頑張ったな」


と、優しく微笑んでくれた。マスターは目が合うとグッと親指を立てて笑顔を浮かべ、隅に居たバージルも珍しいくらい柔らかく笑う。それを目撃してしまった若が小さな悲鳴を上げたのを耳にして、紅は苦笑を浮かべた。


「…先輩方、おつかれさまでした」


そう言って、僅かに口角を上げたカイに続き、ルイスが大きな溜め息を吐く。


「紅先輩もリアラ先輩も、見惚れちゃうくらい綺麗でしたよ、ほんと…」


潤んだ瞳でリアラを見るなり、ルイスは諦めたように零した。


「リアラ先輩綺麗だから、先生も射止めちゃったんですね…俺なりに本気だったんですけど」

「ルイス…」


カイの同情の視線を受けて儚く微笑んでみせたルイスはしかし、その隙にリアラの手を取った。先程とは打って変わって笑顔全開でとんでもない言葉を口にする。


「先生に飽きたらぜひ俺の所に来てくださいね!」

「………え?」

「…アァ…?」


虚をつかれたリアラが目を瞬き、髭が不快そうに眉を顰めた。


「お前なんぞに渡す訳無いだろ」


ルイスが握る手を髭が振り解き睨みを利かせるものの、笑顔を崩さないまま更に紅に振り返る。


「あ、紅先輩も若が頼りなく感じたらいつでも俺が支えになりますよ!」

「………ええー…」

「ルイス…」

「お前ってヤツは…!!」


目元を引きつらせる紅、呆れて顔を覆うカイ、そして怒りにわなわなと震え出す若。


「紅は俺のだ!ぜっったいに!オマエみたいなナンパ野郎に近寄らせねえ!」

「リアラ、馬鹿共はほっといてドリンクでも飲むか」

「え…あの、はい…」


立ち去るリアラと髭、取っ組み合いを始める若とルイス。カイは無言で初代や二代目たちの元へ。


「………」

「ん?カイ、ルイスはどうした?」

「…バカには付き合ってられないので」

「初代、あたしも仲間に入れて」


苦笑いでやって来た紅の後ろから、賑やかな喧騒が響く。


「元気なヤツらだ」


二代目の呟きにネロが肩を竦め、キリエが柔らかく微笑んだ。暫く続いた取っ組み合いに、とうとうバージルが


「喧しい!」


とキレて若を締め上げ、同時にカイがルイスの額にドラムのスティックを命中させる。遠巻きに見ながら呆れる髭とリアラの近くでは、マスターがニコニコと笑いながらその様子を見守っていた。


「やっぱり、みんな楽しそうなのが一番だねぇ」


嬉しそうなマスターの呟きは喧騒に掻き消され、騒がしく楽しいパーティーは夜更けまで続いたのだった。