コラボ小説 | ナノ
 Make up!

翌朝、リアラと紅の二人は『Crazy Sound』に来ていた。
開店したばかりの店内でコーラを飲みながら、紅は隣りに座るリアラに尋ねた。


「ねぇ、何でここに来たの?」


紅は首を傾げる。
朝、リアラの作った朝食を二人で食べていた時、突然彼女が「今日は出かけるよ」と言い出した。
理由を聞く間もなく、「ご飯食べ終わったら、部屋に戻ってあるだけの服を持ってきて」と言われ、言われるままに紅は自室から持てるだけの服を紙袋に入れて持ってきた。リアラに言われていた、以前二人で出かけた時に買った服と帽子、化粧品も忘れずに。
リアラの部屋に戻ると、後片付けを済ませた彼女はさっそく持ってきた服を並べるように紅に言った。紅が持ってきた服をカーペットの上に並べると、リアラは以前二人で出かけた時に買った服を中心にして、組み合わせを考え始めた。時々、戸惑う紅に意見を聞きながら、服の組み合わせを決めていく。服の組み合わせが決まると、紅にその服に着替えておくように言い、リアラは一旦洗面所に向かった。
その後、あれよあれよと言う間に髪をセットされ、爪にマニキュアまでされた紅は合間に着替えを済ませたリアラに連れられ、ここ『Crazy Sound』に連れてこられてきたのだ。
リアラは微笑んで答える。


「ちょっと知り合いを待ってるの」

「知り合い?」

「そう、知り合い」


なぜ、遊ぶのに二人でじゃなく、わざわざ知り合いを呼ぶのだろうか。
紅は再び首を傾げたが、リアラはにこにこと笑っているだけで、それ以上は教えてくれない。
ソーダフロートを一口口にしてから、満足そうにリアラは言う。


「紅、その服よく似合ってる」


紅は肩紐と首にかける紐のダブルの紐がつき、胸元と裾にレースがあしらわれた、淡いピンクのキャミソールに、裾が短めのベージュのカーディガンを着ている。黒いショートパンツに、猫の足跡と猫がついた白いニーハイを履き、低めのヒールにバレエシューズのようなストラップのついた黒いパンプスを履いている。緩く巻かれた髪は紅い薔薇のシュシュで顔の右側に一つに結われ、頭には以前買った紅い猫耳帽子が乗っている。爪は淡いピンクのマニキュアが塗られ、唇には透明なピンクのグロスがひかれている。
恥ずかしそうに顔を染めつつ、紅は返す。


「そう、かな…。リアラもその服、似合ってると思うよ」


リアラは後ろにラメ入りのリボンテープがついた七分丈のグレーのサマーニットに、白いショートパンツを合わせた。黒いニーハイに折り返しつきにベルトのついたグレーのショートブーツを履いている。髪は青い薔薇のシュシュで顔の左側に一つに結われ、右腕にはブレスレットをつけ、爪には透明なマニキュアが塗られている。紅のより赤めのグロスをひいた唇が満足げに弧を描いた。


「ふふ、ありがとう」

「そういえば、その知り合いっていつ来るの?」

「もう少しで来ると思うけど…」


そう言い、リアラはチラリと店の時計を見やる。
現在、9時45分。待ち合わせは10時だから、あと10分もしたら来るだろう。
こちらに向かっているであろう二人を思い浮かべ、リアラは笑みを溢す。


「どうしたの、リアラ?」

「ううん、何でもない」


首を傾げる紅に笑みを返しつつ、早く来ればいいな、と思いながら、リアラは再びソーダフロートに口をつけた。