コラボ小説 | ナノ
 white room

「ん…」


小さく声を上げ、リアラは目を開いた。視界一杯に白い天井が映る。
ぱちぱちと目を瞬かせ、リアラは口を開いた。


「…ここは…?」

「リアラ!」


聞き慣れた声が響き、リアラは頭を横へ傾ける。視界に映った親友の顔に、リアラは彼女の名を呟いた。


「紅…?」

「リアラ、リアラっ…!」


よかった…!、と続ける紅は目に涙を浮かべて、リアラの手を握りしめる。自分の手を握りしめる両手が微かに震えていて、リアラは苦笑して空いていた方の手で紅の頬を撫でた。


「ごめんね、心配させて…」

「っ、ううん…」


ふるふると頭を振る紅を落ち着かせるように、リアラは彼女の頬を撫で続ける。
ふと、リアラの頭に温かく大きな手が乗せられた。


「大丈夫か?」

「ダンテ、さん…」


上を見上げると大好きな人の心配そうな顔があって、少し罪悪感を感じながらリアラは頷く。


「…ん」

「ならいい」


そう言い、自分の頭を撫でてくれる手に目を細め、リアラは微かに笑みを浮かべる。
よく見たら、髭の背後に若もいて、髭と同様に心配そうにこちらを見ていた。


「若…」

「おう」


目、覚めたみてえだな、と言う若に、リアラはこくりと頷く。
落ち着いたところで、髭が今の状況を説明してくれた。


「ここは病院だ。あの後、気を失ったお前をここに連れて来て、治療してもらったんだ」


お前、2時間も気を失ったままだったんだぞ、という髭にリアラは呟く。


「そう、ですか…」


話を聞いていて、大切な人達に心配させてしまったと心苦しくなった。
本当に、ごめんなさい…、と俯いて言うリアラに、髭は「お前が謝ることじゃない」と言い、再びリアラの頭を撫でる。


「それほど深い傷じゃなかったから、2、3日もすれば傷口は塞がるそうだ」


ただ、しばらく傷跡は残るらしいが…、と辛そうに言った髭にリアラはふるふると頭を振る。


「そんなの気にしません。助けてくれて、ありがとうございます」


そう言い、微笑んだリアラに髭は目を見開いたが、すぐに優しい笑みを浮かべる。
恋人の温かな優しさに浸っていたリアラは、ふいに視線に気づいて髭の後ろを見た。若が何か言いたげにこちらを見ている。
リアラはしばし思案すると、恋人を見上げ、口を開いた。


「ダンテさん、お願いがあるんですけど」

「何だ?」

「ちょっと喉が渇いちゃって…。何か飲み物買ってきてもらってもいいですか?」

「ああ、いいぞ」


髭も若の様子に気づいたのだろう、すぐに頷く。
「何がいい?」「ミルクティーがいいです」そんな簡単なやり取りをした後、髭は紅に呼び掛けた。


「紅」

「何?」


紅が顔を上げる。髭は病室の扉を指差し、続けた。


「一緒についてきてくれないか?俺一人じゃ人数分は持ち切れない」

「…わかった」


こくりと頷くと、紅は立ち上がり、髭の後について行く。
病室を出る前に一旦こちらを振り向き、紅は微笑む。


「すぐ戻ってくるから、ちょっと待ってて」

「うん」


リアラも微笑み返すと、髭を追って紅は扉の向こうへと消えていく。
二人がいなくなったことで病室はしん…と静まりかえる。リアラは自らの一言で、その静寂を破った。