あれから二ヶ月が経った。いろんな街を転々としながらダンテを探すリアラだが、未だに彼は見つからず、情報すら掴めないでいた。
「なかなか見つからないなあ…」
ベッド脇に腰を下ろし、リアラははぁ、とため息をつく。
フォルトゥナを飛び出して三ヶ月、そろそろ見つかってもいい頃合いだと思うのだが。それに、見つからないまでも、情報の一つや二つくらいあってもおかしくないと思う。
(そんな簡単には見つからないか、大陸って広いし…)
そう思い、リアラが自分を納得させていた時だった。
ジリリリリン!
窓際の小さなテーブルに置いてある電話がけたたましい音を立てた。ベッドから立ち上がると窓際まで移動し、リアラは受話器を取る。
「もしもし?」
「リアラか?俺だ、ロイだ」
「ロイ?いきなりどうしたの?」
電話をかけてきたのはロイだった。突然の連絡にリアラは首を傾げる。
その様子が伝わったのか、ロイが苦笑しながら詫びる。
「悪いな、いきなりかけて。ちょっと相談したいことがあってな」
「相談?依頼のことで?」
「話が早いな。そうだ、依頼のことでだ」
そう言ってロイは話を切り出す。
「二日くらい前にな、ある街に住んでる老婦人から依頼があったんだよ。彼女はある街で孤児院を経営してるらしいんだが、一ヶ月前から孤児院に暮らす子供が一人ずついなくなってるんだと。いつの間にかいなくなってるから、悪魔の仕業じゃないかと思ってるらしい」
「いつの間にか、って、決まった時間にいなくなるってことじゃないってこと?」
「いや、ぴったりその時間ってわけじゃないが、夜にいなくなるらしい。次の日の朝にいなくなったことに気づくんだと」
「それって、毎晩?」
「いや、不定期らしい。一番最近だと、三日前に一人いなくなってる」
「三日前って、電話のあった前日じゃない」
「ああ」
しばし考え込むと、リアラはロイに尋ねる。
「そこって、私のいる街に近い?」
「ああ、近い。隣街だ」
「すぐ近くなのね。…もしかして、私のいるところを調べた?」
「まさか。一ヶ月前にもらった手紙から、一つの街に一週間くらいいるって計算して検討つけただけだ」
「…よくおわかりで」
「三年もお前の情報屋やってるんだ。ある程度はわかる」
その言葉に自分の行動を見透かされているような気がして、思わずリアラは苦笑する。