旅を始めて一ヶ月が過ぎた。依頼をこなして旅費を稼ぎながら旅を続けていたリアラはとある街に来ていた。


「懐かしいな…」


街を見渡し、リアラは呟く。以前旅をしていた経験もあり、どの街に行っても懐かしさが沸き上がったが、ここは特別だった。


「せっかく来たんだから、あそこに行こうかな」


そう呟き、リアラは歩き出す。自然と足が目的地に向かって動き、動きには迷いがない。街の真ん中辺りにやってくると、あるところでリアラは足を止めた。
そこは、かつて古い雑居ビルがあった空き地だった。十数年前にある事件があったらしく、不吉だということで誰も近寄らない土地。
リアラはゆっくりと目を閉じ、静かに手を合わせる。―かつてここで銃のアキュライズを手がけていたという一人の女性へ。
ニール・ゴールドスタイン。銃のアキュライズに関しては名の売れた、かつては『45口径の芸術家』とまで呼ばれたガンスミス。
初めて彼女の銃に触れたのは五年前。大胆かつ繊細な造りは彼女の銃に対する愛情が表に出ているように感じて、一目で魅力された。―そして、この銃と出会ったのも。
リアラは左足に付けたホルスターの上から愛銃を撫でた。
その時、リアラの耳に誰かの声が届いた。




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