普段と同じ買い物の帰り道、どんよりとした曇り空を見上げてリアラはため息をつく。


「はぁ…」


6月に入り、曇りの日が多くなってきた。まだ雨は降っていないが、その内湿気が高くなってじめじめとしてくるのだろう。気分まで暗くなってしまいそうだ。


「帰り辛いなあ…」


いや、すでに暗くなっていた。あの日、母親の仇を討つのが生きる目的で、未来のことなど考えてないと言い切った時から、お互い、何だかぎこちなくなってしまった。どちらも気を遣っているような。


(自分で言った、ことなのに。辛い…)


抱えている紙袋を抱きしめ、リアラは顔を歪める。ああ、何て自分勝手なんだろう。


(潮時、なのかもしれない。仇の悪魔を倒したら、事務所を出ていこう)


ずっと好意に甘えているわけにはいかない。きっと、仇の悪魔を倒してからも、ダンテはここにいればいいと言うだろう。でも、それではいけない。


「私は、幸せになっちゃいけない…」


小さく呟かれた言葉は、空気に溶けて消えた。




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