「ダンスパーティー?」
「そう。それに客人として参加してほしいんですって。仕事着だとあからさまに雰囲気が違うから、他の客に不安を与えかねない、って」
「めんどくせえな…」
「あら、そんなこと言っていいの?依頼先はかなりの大金持ちだし、報酬も高い。借金だらけのあんたにはいい話だと思うけど?」
「つったって、お前が仲介料をガッポリ取っていくだろ」
「失礼ね、今回はそんなに取らないわよ。私もあっちから仲介料を貰ってるし」
「貰ってる、って、お前、それ引き受けたってことじゃねえか」
「そうよ。だから、拒否権はないわよ?」
「それを最初から言え…」
はぁ、とため息をつくダンテに、ニコニコと笑うレディ。
リアラが買い物に行っていて事務所に一人だったダンテは、お決まりの場所にお決まりの体勢で顔に雑誌を乗せ、惰眠を貪っていた。そこへ突如レディがやってきて、仕事の話を始めたのだ。今はちょうど仕事の内容を聞き終えたところで。
「ダンスパーティーなんだろ?パートナーはどうするんだよ」
「あら、ちょうどいい相手がいるじゃない」
そう言ってレディが笑った時、玄関の扉が音を立てて開いた。
「ただいまです、ダンテさん。あ、レディ、いらっしゃい」
扉を開けたのはリアラだった。食材の入った紙袋を抱えたリアラは二人へと歩み寄る。
「お邪魔してるわ、リアラ。ちょうどよかった、仕事を持ってきたんだけど、あなたも聞いてくれない?」
「仕事?どんなの?」
「長くなるから、座って話しましょ。でも、その前に買ってきた物を片づけてからの方がいいかしら?」
「あ、そうだね。ちょっと待ってて、すぐ片づけるね」
「俺も手伝うよ」
「ありがとうございます」
椅子から立ち上がると、ダンテはリアラと一緒にキッチンへ向かう。その様子を、レディは苦笑しながら見ていた。