「DevilMayCry?」
『リアラ、久しぶりね。元気にしてる?』
「レディ!うん、元気にしてるよ」
『そう、ならよかった』
久しぶりに鳴った黒電話の受話器を取ると、聞こえてきたのは聞き慣れた声。その声にリアラの顔がぱっと明るくなる。
『ダンテはいる?』
「ダンテさん?今、シャワーを浴びてるけど…仕事の話?」
『ええ』
「私でよければ代わりに聞くよ?」
『その気持ちはありがたいんだけど、急ぎの仕事なのよ』
「そうなの?じゃあ、私が…」
リアラが言い終わる前にガチャリと扉の開く音が響き、シャワーを浴び終えたダンテが姿を現した。
「あ、ダンテさん、ちょうどよかった」
「どうした?」
「レディから電話ですよ。急ぎの仕事だそうです」
リアラがそう伝えると、ダンテは嫌そうに顔をしかめる。
「今からか?気が乗らねぇな…」
「そんなこと言わないでください、悪魔関連の依頼なんて滅多にないんですから」
ほら、とリアラが受話器を手渡すと渋々受け取り、ダンテは受話器を耳に当てる。
「もしもし?…わかった、悪かった、受けるからそれ以上言わないでくれ。で、場所は?」
しばらく簡単なやり取りをした後、ダンテは隣りにいたリアラの方を振り返る。
「レディがリアラに話したいことがあるんだと」
「私にですか?」
「ああ」
仕事の話ではないだろうし、何だろう、そう思いながら、リアラは受話器を受け取る。
「もしもし?どうしたの、レディ?」
『リアラ、もし今日何も予定がないなら、よかったらダンテが出かけた後に一緒に出かけない?前にあなたが言ってた紅茶の店にも行ってみたいし』
どうやらお茶のお誘いのようだ。普段なら喜んで頷くところなのだが、今日はそれができなかった。
リアラは言いよどみながら返す。
「そ、の…ごめんね。今日は遠慮しておく。それに、ダンテさんが依頼に行ってる間に出かけるのは気が引けるし」
リアラの様子をレディは訝しがったが、何かあるのだろうとあえて口には出さなかった。