「はぁ…」
静かな空間に響くため息。主のいない事務所の中だと余計大きく響いている気がする。読んでいた雑誌を閉じ、リアラはソファに深くもたれかかる。
『先程からずっとため息ばかりだな、主よ』
「ケル…」
足元からする声に、リアラは視線を下げる。いつの間にか傍にやってきていたケルベロスが、心配そうにこちらを見上げていた。苦笑し、リアラはケルベロスの頭を撫でる。
「心配させちゃってごめんね、ケル。大丈夫」
『…まだ、昼に感じた嫌な予感が気になるのか?』
「…うん」
ケルベロスの言葉に困ったような顔をし、リアラは頷く。