「いい天気ですね」
「そうだな」
春真っ盛りの暖かい昼下がり、リアラとダンテは市場へ買い物に来ていた。
ダンテはリアラを見やり、言う。
「だいぶ服のバリエーション増えてきたな」
「おかげさまで」
にっこりと笑い、リアラは返す。
今日のリアラは肩部分の開いた白のドルマンスリーブに青系のチェック柄のプリーツスカートを履いている。足元は黒のストッキングと茶色のブーツで、甘くなりすぎないようにまとめられている。
対するダンテは赤い長袖に裾の長めの黒いジャケットを羽織り、青いジーンズに焦げ茶の革靴を合わせている。
「たまにはそういうかわいいのも買ったらいいのに。けっこう似合ってるぞ」
「いえ、もうこれで充分ですよ」
顔を赤らめながらリアラは手を振る。
今リアラが着ているドルマンスリーブは彼女にしては珍しくかわいらしいもので、肩が白いビジューが付いた白いリボンで飾られており、彼女がうんうん悩みながら買っていたことは記憶に新しい。
「ダンテさんこそ、もう少し服を買ったらいいのに」
「俺はそんなに着る機会ないからな。たくさんは要らない」
「じゃあ、小物買いましょうよ。例えば…今日の服に合うストールとか」
「ストールか?」
「あんまり使いませんか?」
「そこまで気遣ったことはなかったな」
「じゃあ、せっかくだから買いましょう。私でよければ選びます」
「なら、せっかくだから頼むかな」
「はい」
ほのぼのとした会話を交わし、リアラは駆け足で店に向かう。その後ろ姿を微笑ましく見守りながら、ダンテもゆっくりと後を追った。