「相変わらずひまそうね」
「…レディか」
借金取り…ならぬ知り合いの登場にダンテは苦虫を噛み潰したような顔をする。温かく気持ちのよい昼下がり、時間があったから銃のメンテナンスをしていたところなのに。
あからさまなダンテの態度も気にせず、レディは室内を見回す。
「あら、リアラは?」
「リアラなら一週間前からフォルトゥナに行ってるぞ」
「あら、ついにあの子にまで呆れられたの?」
「んなことあるか。事務所での生活も落ち着いてきたから、一旦家に戻りたい、ってリアラに言われたんだよ」
リアラがこの事務所で暮らし始めて一ヶ月が過ぎた。ここの生活にも慣れてきたし、父親が心配だからフォルトゥナに行ってくる、と彼女がダンテに言ったのだ。ダンテが「気兼ねなく行ってこい」と言い、背を押したのはちょうど一週間前。四、五日程滞在してくる、と彼女は言っていたから、戻るのは数日先だろう。
「父親思いなのね」
「あいつにとってはたった一人の家族だからな」
ダンテがそう言うと、そうね、とレディは頷く。
話ながら銃を組み立てていたダンテは、レディを見上げる。
「で、今日は何の用だ?借金の取り立てなら、あいにく今は金がねえ」
「そんなのいつものことじゃない。今日は仕事を持ってきたのよ」
「仕事、ね…。内容によるな」
相変わらずのダンテの態度に軽くため息をつきながら、レディは依頼の内容を話し始めた。