五時間後―。


「うう、疲れた…」


掃除を終えたリアラはぐったりとテーブルに頭を横たえる。
自室となる部屋の掃除を終え、まずは二階からと掃除を始めたリアラは全く使っていない部屋の埃っぽさとダンテの部屋の荒れ具合に驚いた。使っていないからと全く掃除をしていなかったのか、室内に入った途端に空気は悪いし、ダンテの部屋は脱ぎ散らかした服や雑誌(しかも、何だかいかがわしい)で足の踏み場がないし、何とも言えない気分で掃除をした。
やっとのことで二階の掃除を終え、次は一階の掃除を始めたのだが、キッチンは洗っていない食器がシンクに溜まっており、調理台にはピザの空箱が大量に積まれていた。脱衣所は棚にタオルが乱雑に入れてあり、洗面台の鏡が曇っていて使えない有り様だった。リビングの床も埃っぽいし、天井のシーリングファンも埃が溜まっているしで散々だった。
ゴミをまとめ、掃除をしながら使える物と使えない物に分け、使いやすいように整理しながら物を棚に戻し、足りない物を確認してやっと掃除を終えたのだ。


「いやー、見違えるようにきれいになったな」


室内を見回し、ダンテがのんきに呟く。頭だけをダンテに向け、リアラは返す。


「それはダンテさんが掃除してないからですよ。いくら苦手って言ったって、あれは酷すぎます。というか、苦手というよりめんどくさいだけなんでしょう?」

「はは、バレたか」


笑って答えたダンテに、リアラはガックリと項垂れる。
…家事を任せられた意味が、何となくわかった気がする。
大きなため息をつくと、リアラはダンテに言う。


「せっかくきれいに掃除したんですから、次の日に汚したりしないでくださいよ?服とか置きっぱなしだったら怒りますからね」

「おお、怖い怖い。気をつけるよ」


怖がってなどいないだろうに、大げさに肩を竦めて言うダンテにリアラは再びため息をつく。
リアラの様子に苦笑すると、ダンテはリアラに歩み寄り、少し埃を被ってしまった彼女の頭をくしゃくしゃと撫でる。


「まあ、とりあえずお疲れさん。その様子じゃ飯は作れないだろ、今日はピザでいいか?」

「…はい…」


ダンテの言う通りなのでリアラは素直に頷き、小さくため息をついた。



***
2013.12.6




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