依頼料を貰い、二人は孤児院から外へと出る。門をくぐろうとしたその時、誰かが二人を呼び止めた。


「お姉ちゃん、お兄ちゃん!」


二人が振り返ると、昨夜助けた少女―クレアがこちらに向かって走ってきていた。
リアラは屈み込み、目の前に来たクレアと目線を合わせる。


「クレアちゃん、どうしたの?」

「あのね、さっき先生からお姉ちゃんとお兄ちゃんがわるい人からわたしをたすけてくれたってきいたの!」


だからね、とクレアは笑う。


「お姉ちゃん、お兄ちゃん、たすけてくれてありがとう!」


笑顔で告げられた言葉にリアラは目を見開くが、やがて柔らかな笑みを浮かべた。


「…どういたしまして」

「お姉ちゃん、また会える?」

「うん。きっと、またどこかで会えるよ」

「うん!」


またね、お姉ちゃん!と言い、手を振ってかけていったクレアにリアラも手を振る。ゆっくりと立ち上がると、隣にいたダンテの手がリアラの頭に乗せられた。


「?」

「いいハンターになったな」


そう言って、ダンテはリアラの頭を撫でる。


「他人のことで心を痛められるっていうのは、人間だって証拠だ。…やっぱりお前は優しいな」


ダンテに優しい笑みを向けられ、リアラは頬を染めて俯く。リアラの頭をポンポンと叩くと、ダンテは言う。


「俺の事務所は隣街だ。あともう少し、がんばれよ」


その言葉にリアラははっと顔を上げる。門を出ると、ダンテはリアラに向かって手を振る。


「じゃあな」


そう言い、去っていくダンテの後ろ姿を見つめていたリアラはぎゅっ、と掌を握りしめる。


(あと、もう少し…)


心の中で呟くと強く頷き、リアラはダンテの去った方とは反対の方向へと歩き出した。



***
2013.11.28




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