まずは向かってきたアルケニー二体をリアラとダンテはそれぞれ一体ずつ相手をする。
アルケニー達が吐いた糸を避け、リアラはアルケニーの懐に飛び込むと頭めがけて回し蹴りをくらわせる。強烈な衝撃にふらついたアルケニーを踏み台にして高く跳び上がると、アルケニーめがけて槍のように細く鋭い氷柱を降り下ろした。
「ギィィィィッ!!!」
耳障りな悲鳴を上げ、アルケニーは溶けて消えていく。
一方ダンテは、スティンガーでアルケニーを突き上げると、空中に舞い上がったアルケニーに向かって逆手に持ち替えていたリベリオンを振り上げる。
「突っ走れ!」
ダンテが叫ぶと同時に衝撃波がアルケニーめがけて放たれ、切り裂く。真っ二つになったアルケニーの身体がドサッと大きな音を立てて地に落ちると、そのまま溶けて消えていった。
リベリオンを持ち直し、ダンテは残りのアルケニー達に向かって突きつける。
「さて、残るは二体か」
「動かないのなら、こっちから行くわよ?」
リアラもレイザードを構え、アルケニー達を見据える。すると、二体の内の片方が耳障りな声を上げ、両手の鎌を振り上げた。それを合図とするかのように小蜘蛛達が少女めがけて飛びかかる。
「!まずい!」
目を見開き、ダンテが一歩踏み出そうとした、その時。
「そうくると思った」
ビキッ
リアラの呟きと同時に、少女に飛びかかった小蜘蛛達が音を立てて凍りつく。目を見開いたダンテは、少女の周りをキラキラと光る膜が覆っていることに気づいた。
「結界、か?」
それは、リアラの魔力によって作られた結界だった。少女の座る地面には青い魔法陣が浮かび、結界は月の光に照らされ、キラキラと氷のような輝きを放つ。
リアラは氷を操る魔狼の血をひく半魔だ。だから、冷気を帯びた結界に触れた小蜘蛛達は凍りついたのだろう。
「ダンテさん、その子のことは心配ないですよ。だから思いっきりやっちゃってください」
「…そうか。それなら遠慮なくやらせてもらうとするか」
リアラの言葉に口角を上げると、ダンテは地を蹴り、残りのアルケニーに向かってリベリオンを振り上げた。