「悪いが、これからこのお嬢さんは俺と仕事だ。他の女を誘いな」
男に掴まれていた腕が、誰かによって解放される。後ろから現れた手に驚き、リアラが上を見上げると。
「ダンテ、さん…」
光を浴びて煌く銀髪に、赤いコート。自分が会いたいと願っていた人が、そこにいた。
ダンテの剣幕に押され、男達は後ずさる。
「なんだ、男連れかよ」
「行こうぜ」
舌打ちしながら男達は二人から離れていく。やれやれと肩を竦めたダンテを見上げ、戸惑いながらもリアラは口を開く。
「あ、あの…ありがとうございます」
「いや、こっちこそ待たせて悪かった」
そう言ってリアラと視線を合わせると、ダンテはアイスブルーの目を細める。
「…リアラ、だな。久しぶりだな」
「…はい」
「何ヶ月ぶりだ?」
「四ヶ月くらい…ですね」
「四ヶ月か…けっこう経ってるな」
しみじみとそう呟くと、ダンテはリアラの隣の席に腰かける。
「よくわかりましたね」
「髪の色でな」
あと、その髪留めでわかった、とダンテはリアラの両頬の一房を留めている髪留めを指差す。
「大切な物だもんな、それ」
「…はい」
リアラはふわりと柔らかな笑みを浮かべる。そんなリアラを見つめ、ダンテは呟く。
「…しっかし、元の姿のお前はきれいになってるとは思ったが…。予想以上だった」
そう言ってフッ、と笑うダンテに、リアラは顔を真っ赤にする。
「あ、ありがとうございます…」
そう言って俯くリアラを微笑ましく思いながら、ダンテは彼女の頭をポンポンと撫でる。
「さて、じゃあ依頼先に向かうか。依頼人がお待ちかねだからな」
「あ、はい」
慌てて頷き、リアラはダンテについてバーを後にした。