次の日―。
「何でここなのかしら…」
リアラははぁ、とため息をつく。
依頼を引き受けたあの後、再びロイから連絡が来た。依頼主が頼んでいたもう一人の仲介屋から引き受けると返事が来たという連絡だった。ペアで仕事か、と考えていたリアラに、彼からもう一つ告げられた。
「あっちのハンターがお前に会いたいんだと」
ロイの話によると、ペアを組む予定のハンターが仕事前に自分に会いたいと言ったらしく、あっちの仲介屋が依頼主にそう話したのが彼に伝えられたらしい。
仕事の手順でも話し合いたいのだろうか、と思いつつ、自分も会ってみたかったため、リアラはそれを了承した。そして、相手から指定されたのがこのバーというわけで。
(確かに、情報屋がいるからバーはよく来るけど…)
リアラは片肘をつく。
(私、仕事前にはお酒飲まないのよね…。正直、居辛い…)
バーなのにお酒を飲まないとは、何だか店の人に悪い気がしてしまう。だからといって喫茶店にいるのは、格好的に浮くとわかっているのだが。
(喫茶店の方がまし…)
そう思い、リアラが再びため息をついた時だった。
「お姉さん、そんなにため息つくと幸せが逃げちゃうよ?」
かけられた声に後ろを振り返ると、若い男二人がニヤニヤしながらこちらを見ていた。リアラはあからさまに嫌な顔をする。
(めんどくさい…)
こうやってバーで声をかけられたことは何度もある。その度に、自分の格好を見て普通の人と違うとわからないのだろうかと思う。
「そんな嫌そうな顔しないでよ。ね、俺達と遊ばない?」
「私、これから仕事なの。お酒だって飲んでないでしょ?」
「ちょっとぐらいいいじゃん」
そう言って男の一人が腕を掴む。睨んで追い返そうと思い、リアラが顔を上げた、その時。