ガキッ、キィン!

商店街に金属のぶつかり合う音が響く。リアラのレイザードと悪魔の鎌が攻防を繰り広げているのだ。
悪魔は、スライムのような身体を持っていた。中に赤い核があり、核についた巨大な一つ目がギョロリと動く。どうやら飲み込んだ金属を武器に変えるらしく、今身体から出ている二振りの巨大な鎌も体内で造ったらしい。


(でも、隙だらけね)


巨大な鎌を振っているせいで、大振りになって隙が多い。リアラは悪魔の攻撃を飛んでかわすと、悪魔の頭上目掛けて氷柱を放った。
氷柱は悪魔の身体を貫き、核に突き刺さるはずだった、が。

ガキッ

「!」

『残念だったな、そう簡単には壊れないぜ』


核は氷柱を弾き、氷柱は体内に飲み込まれ、消えた。無防備な自分に対して身体から金属の針を出して串刺しにしようとする悪魔の攻撃を寸でのところで避けたリアラだったが、頬に切り傷を負う。


(ちょっと油断したわね…)


頬の血を手の甲で拭い、リアラは立ち上がる。


『さあ、どうする!デビルハンターさんよ!!』


嘲笑い、鎌を降り下ろす悪魔の攻撃を避けながら、リアラは思案する。


(そういえば、武器を造るごとに核が光ってたわね…)


ふと、リアラはあることに気づく。
相手が武器を造る際、体内の核が淡く光っていた。先程、自分を串刺しにしようと針を造り出した時も。


(武器を造るごとに魔力を使ってるみたいだし…)


あんなに巨大な鎌を二振りも造っていたら、使う魔力は膨大なものだろう。


(狙ってみる価値はあるかな)


そう考えると、リアラは相手の懐に飛び込んだ。


『なっ…!』


攻撃を避けていたリアラがいきなり自分の元に飛び込んできて、悪魔は動きを止める。相手が怯んだのを見逃さず、リアラは悪魔の身体に触れると、冷気を纏った魔力を放った。

ビキビキビキッ

音を立てて、急速に悪魔の身体が凍っていく。


『ぐっ…!』


やがて、悪魔の身体全体が武器ごと凍りついた。リアラは距離を取り、相手の様子を窺う。


『なめるなよ、こんなもの、簡単に壊せるわ…!』


そう言うと、悪魔は無数の針を造り出し、自分を覆う氷を割った。氷を全て払いのけると、悪魔は笑い声を上げる。


『どうだ、こんな脆い氷など、簡単に壊せるわ!』


その時、リアラが微かに口角を上げた。


「ふーん…。そのわりには、だいぶ魔力がなくなってるみたいだけど」

『!』


悪魔は目を見開く。
まさか、こいつ…!


『お前、俺に魔力を使わせるために…!』

「そういうこと。氷を壊すのに、絶対魔力を使うって思ったからね。それだけ武器を造り出したら、魔力の消費も激しいでしょう?」


近づいてくるリアラに、悪魔は思わず後ずさる。だが、魔力を使い過ぎたためか、身体が思うように動かない。


『ま、待て…!食った金属なら返すから…!』

「そういう問題じゃないのよ。ある程度金属を喰らったら、いずれ人を殺して喰らうつもりだったんでしょう?」

『…っ!』


リアラの考えが当たっているためか、悪魔は言葉に詰まる。リアラは手をかざすと、悪魔に向けて言った。


「残念ね、ここでさよならよ」

『待っ…!』


悪魔が言い終える前に、リアラが魔力で生み出した氷柱が悪魔を核ごと貫いた。悪魔の叫びが響き渡る。


『ギャアアア!!!』


核を壊され、身体を維持できなくなった悪魔は崩れ落ち、やがて溶けるように消えていった。後に残ったのは悪魔の造り出した巨大な二振りの鎌と、大小様々な金属の塊。
ため息をつき、リアラは辺りを見回す。


「どうしようかな、これ…」


ここに置いておくわけにはいかない。悪魔に襲われた店に返すのが一番いいだろうが…


「…はぁ、レイザードはこういうための武器じゃないんだけどな…」


再びため息をつくと、リアラはレイザードを使って鎌を解体しにかかった。




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