「ここね」
一時間後、商店街のある店の前にリアラは立っていた。
ロイから聞いた依頼内容は、悪魔から商品を守ること。
最近、街中の金属を扱う店が次々と悪魔に襲われているらしい。その悪魔は金属を喰らっていくため、襲われた店が商品不足で困っているそうだ。
今回依頼した人物も金属を扱う店らしく、つい先日に近くの店がその悪魔に襲われたため、次は自分の店に来ると思い、商品の護衛を頼んだというわけだ。
「不思議な悪魔もいたものね」
ふぅ、とため息をつくと、リアラは店の扉を開く。
「失礼します」
一言言って店に入ると、会計の近くの机で作業をしていた人物が顔を上げた。細身の、50代後半であろう男性だ。リアラはその男性に歩み寄ると、ゆっくりと一礼する。
「今回の依頼を受けました、デビルハンターのリアラといいます。ロイから話はいっていると思いますが」
リアラが名乗ると、男性は驚いた顔でこちらを見つめる。
「女では、頼りないですか?」
「あ、いや…。女性の方とは聞いていたけれど、こんなに若いとは思わなくてね」
その若さでやっているのかい、立派なものだねぇ、と言う男性にリアラは目を瞬かせる。今までは女というだけで馬鹿にされたり、見下されたりすることが多かったから、こういう返しが来るとは思わなかったのだ。
「私はスミスです。よろしく、リアラさん」
「あ、はい…」
立ち上がった男性―スミスが差し出した手をリアラは少し戸惑いながら握り返す。
「では、奥でお話しましょう。どうぞ」
そう言い、スミスは奥の部屋へ手を向けた。