五年前―リアラが18歳の時。
当時、リアラは旅を始めて一年が経っていた。女ながら腕が立ち、数々の依頼をこなしていたため、彼女の噂は瞬く間に広がった。
いくつも来る依頼を黙々とこなす毎日を送っていたある日、ロイから電話が入った。
「私、今日は休むつもりなんだけど」
「まあまあ、そう怒るなって」
泊まっている宿の部屋で、リアラは顔をしかめた。昨日までに頼まれていた依頼を全て終え、今日はゆっくりと休もうと思っていたのに。これでは過労死してしまう。
「私を過労死させる気?」
「まさか、そんなつもりはないさ。ただ、あっちが切羽詰まった感じでな、依頼主の住んでるところもちょうどお前のいるところみたいだし」
「私の?じゃあ、近いってこと?」
「ああ、街の中心から少し離れた商店街に店を構えてるらしい。そこが家なんだと」
商店街ということは、自分の泊まっている宿から二十分程度、それほど離れていない。
「来たのはいつ?」
「昨日の夕方だ」
「…依頼内容は?」
「お、やってくれるのか?」
「来たのなら仕方がないでしょ。それに近場だし、今日中には行けるわ」
「何だかんだ言いつつ絶対やってくれるよな、お前は」
「それはどうも。で、依頼内容は?」
「ああ、内容がな…」
そのまま、ロイは依頼の内容を話し出した。