街の中心から少し離れた場所にある商店街、その中にある小さな店がスミスの家だ。
スミスはリアラを店に招き入れると、日当たりのいい窓辺のテーブルに案内し、温かい紅茶を淹れてくれた。
「君は紅茶の方がよかったね」
「すみません、ありがとうございます」
スミスから紅茶の入ったティーカップを受け取り、リアラはカップに口をつける。向かいの席にスミスも座ると、自分の分に口をつけた。
「それにしても五年か…。初めて会った時から落ち着いていたけど、すっかり大人っぽくなったね。綺麗にもなったし」
「ふふ、ありがとうございます」
「『あの子』は元気にしているかい?」
「この子のことですか?この通り、ピンピンしてますよ」
スミスの言葉に、リアラはホルスターから愛銃を抜き出し、テーブルの上に置く。日の光に照らされて、銀色のボディがピカリと輝く。
スミスは満足そうに頷く。
「うん、しっかりと手入れされているね。これだけ大切にされているなら、あいつも喜ぶよ」
「スミスさんから譲り受けた、ニールさんの気持ちが込められた銃ですから。大切にするのは当たり前ですよ」
「はは、そうかい」
嬉しそうに笑うスミスを見ながら、リアラはポツリと溢した。
「五年前…か」
「そうだねぇ、五年前…だ」
同じことを呟き、二人は五年前の出来事を思い返し始めた。