次の日、リアラは港にいた。
最低限の荷物を入れたバックを抱え、リアラは空を仰ぐ。旅立ちには絶好の澄んだ空だ。
ゼクスとは家の前で別れを告げた。人型をとれるとはいえ、悪魔が街に出たと言われるのは、父親にとってもあまり好ましいことではない。なるべく人との接触を避けるためだった。
ゼクスは優しい笑顔で見送ってくれた。別れは名残惜しかったが、絶対今より強くなって帰ってくる、と心の中で父親に誓った。
朝の出来事を振り返りながら、リアラはやってきた船に乗り込んだ。
リアラが乗り込んで数分もしない内に、船は出発した。街が、どんどんと遠ざかっていく。
街を見つめていたリアラは、視線を移し、ズボンのポケットからある物を取り出した。白い布を丁寧に開くと、それを太陽にかざす。
それは、ダンテが書き置きと共に残していった、銃の弾だった。太陽の光を受けて、弾がキラリと光る。


(どれだけかかっても、絶対に、辿り着くから)


光る弾を見つめながら、リアラは新たに名を呼ぶ。


(だから待っていて。お兄ちゃん…ううん、ダンテさん)


新たな一歩を踏み出した彼女を、太陽が明るく照らした。



***
2013.3.16




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