「…そんなことがあったのか」
「ええ」
リアラは頷く。今の話がきっかけになったのか、幼い外見に反して、口調は大人のようになっている。
その様子を見ていたダンテは、ふいに湧き上がった疑問を口にする。
「リアラ、今いくつだ?」
ダンテの問いに、リアラは素直に答える。
「22です」
「そうか…お前ももう、そんな歳か…」
九年といっても、時が経つのはあっという間で。 自分が知らない内に、彼女は様々な経験をし、大人になったのだろう。
「九年、俺と会わなかった間、お前はどうしてたんだ?」
問われたリアラはうーん、と唸る。
「九年前にお兄ちゃんと会ったあの後、何年か鍛錬を続けて、父様に一人前だって認められてから、もっと力をつけるために17歳の時にここを出ました。デビルハンターをやりながらいろんなところを回って、20歳の時にここに戻ってきたんです。それからはここに出る悪魔を狩る日々を過ごして…。三ヶ月前に教団に捕まって、今に至る、と」
「…そうか」
九年前に再会して、彼女が父親の指導の下、鍛錬をして、城付近の悪魔を狩るほどの力をつけていたことは知っていたが、まさか自分と同じデビルハンターになっていたとは。考えに耽りながら、ふと、ダンテはリアラに疑問を投げかけた。
「どうして三年で旅を止めて、ここに戻ってきたんだ?」
デビルハンターになったなら、そのまま各地を回るなり、自分のようにどこかに拠点を構えることもできたはずだ。それなのに、途中で旅を止め、ここに戻ってきたのはどうしてなのか。
親父が心配になったか?と冗談めかして言うと、途端にリアラは辛そうに目を伏せた。彼女の様子に、ダンテは笑うのを止め、真剣な表情で問うた。
「…何があった?」
こんなに辛い顔をするなんて、何かあったに決まっている。
問われたリアラは視線をさ迷わせ、やがて意を決して口を開いた。
「…こんなこと言ったら、何様だって思われるかもしれないですけど…」