「さて、と。そうと決まればさっさと寝るか」
「え?」
ダンテの言葉にリアラは驚いた顔をする。それに構わず、ダンテは赤いコートを脱ぎ、グローブを外す。
おろおろと困った顔をしているリアラに、ダンテが声をかけた。
「リアラ」
「はい?…っ!?」
返事をしたと同時にダンテに片手で抱き抱えられ、リアラは勢いよくベッドに倒れ込んだ。何が起きたのかわからず目をしばたたかせたリアラが顔を上げると、目の前にはダンテの顔。
「あ、あのっ、お兄ちゃん!?」
自分達に毛布をかけ、完全に寝る体制に入ったダンテにリアラは慌て、手足をばたつかせる。
「明け方まで起きてるってわけにもいかねぇだろ。それに寝ないでそのまま城に向かったら、寝不足で集中力を欠くしな」
そう言うと、ダンテはリアラの身体を引き寄せて、おやすみ、と言って目を閉じた。
「………」
「お兄ちゃん…?」
しばらく経ってから、リアラがおそるおそる呼びかけるが、ダンテから返事は返ってこない。どうやら完全に寝てしまったらしい。
仕方がなく、リアラも寝ることにした。もぞもぞと動き、何となくで目の前にあったダンテの胸に頭を寄せてみる。温かさと、規則正しいリズムを刻む音。それにとても安心感を覚えて、強ばっていた身体の力をゆっくりと抜いていく。
ダンテに守られるように包まれながら、リアラも眠りについた。