「私、探しに行ったらだめって父様に…」
「知ってる。けれど、『俺と一緒に』探しに行くのはだめって言ってないだろ?」
「!」
リアラは目を見開く。ダンテはニヤリと笑って、
「言葉なんてもんは見方を変えればどうとでも取れるもんだ」
と言った。
「でも、今は悪魔が…」
そう言い、リアラは時計を見やる。
現在の時刻は22時。夜も更け、悪魔が活動している時間だ。
今からいけば、城に着く前に悪魔に遭遇する可能性が高いだろう。
リアラの言葉に、ダンテは何でもないという風に答えた。
「それなら、明け方近くに探しに行けばいい。そうした方が悪魔とあまり会わずに済むだろうしな」
「え…」
リアラは目をしばたたかせる。てっきり、「じゃあ、明日の昼にするか」と言われると思っていたのだ。
リアラの思っていることが伝わったのか、ダンテはリアラに優しく微笑みかける。
「早く、探しに行きたいんだろ?」
「!」
リアラは目を見開く。
「お兄ちゃん…」
ここまで、自分の気持ちを汲んでくれるなんて。 何だか、わがままを言っている自分が恥ずかしい。
リアラは思わず呟く。
「ごめんね、お兄ちゃん…」
「気にするな。大切なものなら誰だって早く探しに行きたいって思うもんだ」
「…うん」
再びダンテに頭を撫でられたリアラはやっと微笑みを浮かべる。
それに笑みを返して、ダンテはぐっと背伸びをした。