「…どうしてだ?」
リアラの呟きにダンテが問いかける。
「だって、あの部屋のどこに落ちたかわからないし、髪留めは人差し指に入るくらいの小ささだし…」
ふいに言うのを止めたかと思うと、リアラは悲しそうな顔をした。
「…まだあるかわからないし…」
「…」
そう言い、俯くリアラを見ながら、ダンテは考えこむ。
髪留めを魔剣の間で落としたことは確かだ。だが、それなりに広さのあるあの部屋の中を探すのは容易ではないし、もし見つけたとしても、悪魔に踏み潰されて壊れている可能性(リアラが言う「あるかわからない」の意味はこのことだろう)もある。
見つけられるかどうかなんてわからない。
だが。
「…あきらめるのは、まだ早いんじゃねぇか?」
「…え…?」
ダンテの言葉にリアラは顔を上げる。
「見つかるかどうかなんて探してみねえとわからねえし、悪魔に壊されたって決まったわけでもねぇだろ」
それに、とダンテは続ける。
「やる前からあきらめてたら、何も進まねえ」
「…!」
そう言うと同時にぽん、と頭の上に大きな手が置かれ、リアラは目を見開く。
くしゃくしゃとリアラの頭を撫で、ダンテは微笑む。
「一緒に探してやるから。だから、そんな悲しそうな顔するな」
「お兄ちゃん…」
リアラはダンテを見つめながら、でも、と続ける。