「取りに行く!」
「だめだと言っているだろう!」
ゼクスとリアラはお互いを睨み付けながら声を荒げていた。
「なんで!?あれは母様の…!」
「リアラ!」
一際大きな声でゼクスが娘の名を呼ぶ。
その迫力に押され、さすがにリアラは口をつぐむ。
「今の自分の状態をわかっているだろう。今のお前は魔力が戻っていないどころか、身体も子供の大きさなんだ。そんな状態で城へ探しに行ったって、悪魔が出ても退けられはしないだろう」
「…っ」
本人もわかっているのか、リアラは唇を噛み締める。
ゼクスは諭すように続ける。
「あれがお前にとって大事なものなのは、私にもわかる。だが…これ以上、無理はしないでくれ。お前を失うと思うと私は…」
「…」
リアラは俯き黙ったかと思うと、踵を返し、駆け出した。
部屋から出ようとした時、リアラは廊下にいたダンテに気づき、足を止めた。
「あ…」