(ふざ、けるな…!)
「!」
突然、室内に声が響き、ダンテは目を見開く。それと同時に強い魔力を感じ、とっさに試験管の方を見やる。
ダンテが見た先にある試験管。その中にいるリアラが水色の光を纏っていた。
(お兄ちゃんに…私の大事な人に、手を出すな!)
再び声が響くと同時に、リアラを覆っていた氷がビキ、と音を立て、氷柱へと変形し、悪魔めがけて放たれた。
リアラの声により動きを止めていた悪魔達は氷柱の餌食となり、醜い悲鳴を上げて砂となって消えていく。
「ひ、ひいぃ!」
近くでそれを見ていたシスは情けない声を上げ、ずるずるとその場に尻餅をついた。
やがてリアラが纏っていた水色の光が消えると、彼女を覆っていた氷が音を立てて崩れ、彼女の身体が外へと放り出された。
だが、それと同時に氷柱でしとめ切れなかった数匹の悪魔達が二人に向かって飛びかかっていた。
「!まずい!」
瞬時に判断を下し、ダンテは地を蹴る。そしてすばやい動きで悪魔達より早くリアラのいる場所に着くと彼女を片手でしっかりと支え、もう片方の手でリベリオンを構え、悪魔を切り伏せた。
ダンテのとっさの判断でリアラは傷ひとつなく無事で済んだが、予想外のことに判断が遅れたシスはそのまま直に悪魔の攻撃を受けた。
「ぎゃぁぁぁ!」
耳を塞ぎたくなるような悲鳴が響き、シスはその場に倒れる。
ダンテはリアラを抱えたまま立ち上がると、彼の方へと顔を向ける。
「無様なもんだな…。散々卑怯な手を使って、信じる神にも見放されたか」
冷たい目で己を見下ろすダンテに、シスは苦しそうな表情を浮かべながら、唇を噛みしめる。
「なぜだ…なぜだ…!計画は、上手く、いっていた、はず…!」
「お前みたいな卑劣な奴の卑怯な手を使った計画が上手くいってたまるか」
やったことは全部自分に返ってくることを覚えとけ、とダンテが言うとシスは突然笑みを浮かべ、笑い声を洩らした。
「…ふふ…まあいい。今度は、あの世で研究、する、か…」
そう言うと、シスは身体を投げ出し、そのまま動かなくなった。