斬り、攻撃をかわし、また斬る。
まるでダンスを踊っているかのようにダンテは悪魔を狩り続ける。
もう何十分もこうして悪魔を狩っているが、悪魔の数は一向に減らない。ダンテは眉を寄せる。
(これだけ狩ってるのに悪魔の数が減らねえ…。どこにこんなたくさん潜んでやがんだ?)
狩るスピードは緩めないまま、辺りを見回すダンテ。すると、微かにだが、機械独特の高い音が聞こえる。
音のする方へ顔を向けると、リアラの入っている試験管が怪しい光を放っていた。
シスはダンテの視線に気づき、嘲るように笑う。
「ようやく気づいたか…。お前が悪魔を倒せば倒すほど、悪魔を生み出すためにこいつの魔力が使われる。俺がそういう風に装置を造り変えたからな」
連れて帰る頃までに生きているかな?と言い、シスは笑い声を上げる。
ダンテは舌打ちする。
「どこまでも卑劣な野郎だな…」
「どうとでも」
シスは軽くあしらうと、腕を上げる。その瞬間、リアラが苦痛に顔を歪め、それと同時に剣の形をした悪魔―グラディウスが現れた。
「さあ…どうする、神の息子!」
シスが言い放つと同時に無数のグラディウスがダンテに向かって突撃してくる。ダンテはギリギリの所でグラディウスの攻撃をかわした。
(どうする…!?)
悪魔の攻撃をかわしながらダンテは思考を巡らせる。
悪魔を倒さないとリアラの入っている試験管には近づけない。しかし、悪魔を倒せば、新たな悪魔を生み出すためにリアラの魔力が使われる。このまま悪魔を倒し続けていれば、彼女の魔力は尽きてしまう。
しかも、その装置を操っているシスを止めようにも、彼等の回りを結界が囲っていて手が出せない。おそらくあの結界も、何らかの仕組みでリアラの魔力を使っているのだろう。
(本当に卑劣な奴だ…。これならアグナスを相手にしていた方がましだったぜ)
なるべく悪魔を倒さないように悪魔の攻撃を受け止めているダンテを、シスは勝ち誇った表情で見やる。
「手が出せないようだな、神の息子。人の姿をした化け物一匹人質にいるだけでこうまでなるとはな」
改めてリアラを『化け物』呼びし、シスは再び腕を上げる。それに呼応するかのようにその場にいる全ての悪魔が動きを止めた。
「ならば、お前を弱らせて捕らえ、使ってやろうか。…この女のようにな」
そう言うと、悪魔達がダンテの方へと一斉に向きを変える。
それを確認してから、シスは叫んだ。
「行け!」
その言葉を合図に、悪魔達がダンテに向かって飛びかかる。
攻撃を受け止めるためにダンテがリベリオンを構えた、その時。