「んー、さっぱりした!」
シャワーを浴び終え、髪をドライヤーでしっかりと乾かした後、リアラはバスルームの扉を開ける。喉が渇いたのでそのままキッチンへと向かい、冷蔵庫を開けるとサイダーの缶を取り出す。
リビングへと戻ったちょうどその時、机の上の電話が鳴り響いた。机の上に缶を置くと、リアラは受話器を取る。
「DevilMayCry?」
『リアラ、久しぶり。俺だけど』
「ネロ!久しぶり、元気にしてる?」
「ああ。リアラも元気そうでよかった」
電話をかけてきたのはネロだった。リアラは机に寄りかかり、電話ごしに尋ねる。
「どうしたの?ダンテさんに用事?」
『ああ。おっさんは?』
「今、依頼でいないの。もう少しで戻ってくると思うけど…」
『そうか』
「どうかしたの?」
『ああ、近々、修行のためにそっちに行こうかと思ってるんだ。一週間くらい滞在したいから、おっさんに言っとこうかと思って』
「そっか。じゃあ、私が伝えておこうか?」
『本当か?悪い、頼む』
「わかった」
リアラが頷くと、それと、とネロが続ける。
『一つ、リアラに相談したいことがあるんだ』
「私に?」
『ああ』
「いいよ。何?」
リアラが続きを促すと、ネロは口を開く。
『最近、街の近くに悪魔が出る回数が増えてるんだ。それもメフィストやファウストばかり。…これって、どういう意味だと思う?』
「メフィストやファウストばかり…?」
『ああ。それに…』
「それに、何?」
何かを考えるように一旦言葉を切ると、ネロは続けた。
『何かを、探してるみたいなんだ。こっちのことなんか、まるっきり眼中にない感じだった』
「探す…」
ネロの言葉に、リアラの頭の中でパズルのピースが組み合わさっていく。
街の近くに頻繁に現れる、メフィストやファウストばかり、何かを探している…。
「…リグレット」
『…え?』
リアラの呟きにネロは首を傾げる。はっと我に返り、リアラは首を振る。
「何でもない。…ネロ、たぶんそれはフォルトゥナには関係のないことだと思う。少ししたら収まるわ」
『そう、か。ならいいけど…』
「うん。しばらくは大変だと思うけど、がんばって」
『ああ。…ごめん、いきなりこんな相談して』
「いいよ、また何かあったらいつでも相談して。私でよければ相談にのるわ」
『ああ、ありがとな。じゃあ』
「うん、またね」
通話の切れたのを確認し、リアラは静かに受話器を置く。
顔を俯かせ、リアラは呟く。
「…あいつが、現れた…」
低い声で呟き、リアラは歯をギリリと噛みしめる。
受話器を持ったままの手が、強く強く握りしめられた。