「身体の調子はどうだ?」
「まだ少しだけ痺れが残りますけど、大丈夫ですよ。後数分もしたら治ると思います」
「そうか」
微笑んで答えるリアラの頭をダンテは優しく撫でる。
悪魔を倒した後、リアラの身体を心配したダンテがここで休んでいこうと提案し、ダンテが噴水の縁に腰かけ、膝の上にリアラを乗せる形で休憩を取っていた。この体勢にリアラは最初恥ずかしがったが、ダンテに諭され、今は大人しく座っている。
ふいに、リアラがポツリと呟く。
「…すみません、私のせいで迷惑をかけてしまって…」
「こういうこともあるさ。むしろ、今まで失敗しなかったのがすごいくらいだ」
だから気にするな、そう言って笑い飛ばすダンテにつられ、リアラも笑みを浮かべて頷く。
「それにしても、『お姫様』はないと思いますよ。何であんなこと言ったんですか」
「あの時の体勢が、お姫様を抱き抱えた王子みたいな感じだったからな。だからそう言った」
「全く…」
少し呆れつつも、そう言ってもらえて嬉しいと思っている自分がいて。
冗談半分にリアラは言う。
「ダンテさんは王子様っていうより、騎士って感じがしますけど」
「ははっ、違いない」
楽しそうに笑い、ダンテは空を見上げる。それに倣い、リアラも空を見上げる。
(ああ、あったかい…安心する…)
寄りかかった背中に伝わる優しい温かさを感じながら、リアラは小さく笑みを浮かべた。
***
2014.11.7